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第61回 「骨太方針を受けた法人税改革の方向性」|税務会計業務のポイント

第61回 「骨太方針を受けた法人税改革の方向性」|税務会計業務のポイント

 アクタス税理士法人

骨太方針に記された法人税改革

平成 26 年6月24日に「経済財政運営と改革の基本方針 2014」、いわゆる骨太の方針が閣議決定されました。



内閣府:経済財政運営と改革の基本方針2014 ~デフレから好循環拡大へ~
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2014/decision0624.html

骨太方針の第3章 「経済再生と財政健全化の好循環」の法人税改革では、次のように記載されています。


日本の立地競争力を強化するとともに、我が国企業の競争力を高めることとし、その一環として、法人実効税率を国際的に遜色ない水準に引き下げることを目指し、成長志向に重点を置いた法人税改革に着手する。
そのため、数年で法人実効税率を 20%台まで引き下げることを目指す。この引下げは、来年度から開始する。
財源については、アベノミクスの効果により日本経済がデフレを脱却し構造的に改善しつつあることを含めて、2020 年度の基礎的財政収支黒字化目標との整合性を確保するよう、課税ベースの拡大等による恒久財源の確保をすることとし、年末に向けて議論を進め、具体案を得る。 実施に当たっては、2020 年度の国・地方を通じた基礎的財政収支の黒字化目標達成の必要性に鑑み、目標達成に向けた進捗状況を確認しつつ行う

具体的検討について

法人税の改革は、税制調査会が主体にディスカッショングループ(DG)で議論されています。法人税改革の考え方は、他の税目との見直しを行いつつ、しかし、恒久減税である以上、恒久財源を用意することは鉄則としている。また、企業は長期の見通しに立って事業を行うためにも、法人税を頻繁に見直すことは望ましくなく、この観点からも恒久財源を手当てする課税ベースの拡大を検討しています。

具体的にDGでは、次の8つの改革事項を挙げています。

1. 租税特別措置の見直し

  • 特定の産業が集中的支援を受ける優遇は出来るだけ廃止
  • 試験研究費の税額控除制度は、税率引き下げに対応して大胆に縮減を検討

2. 欠損金の繰越控除制度の見直し

  • 繰越控除期間(現行9年)の延長
  • 控除上限額(現行、所得の8割)の引き下げ
  • 中小企業への配慮は必要

3. 受取配当金の益金不算入制度の見直し

  • 支配関係を目的とした株式保有と資産運用を目的とした株式保有を明確に区分する
  • 配当等の範囲、益金不算入割合の見直し

4. 減価償却制度の見直し

  • 定率法を廃止し、定額法に一本化を検討

5. 地方税の損金算入の見直し

  • 法人事業税や固定資産税は、損金算入されているが、地方公共
  • 団体の措置が国税である法人税に影響を与えることになるため、明確に取り扱いを定め、地方税を損金不算入とする措置を検討

6. 中小法人課税の見直し

  • 資本金1億円で中小法人とそうでない法人を区分する水準の引き下げの検討
  • 所得800万円以下の軽減税率の見直し
  • 法人成りメリットの制限
  • 留保金課税の適用の検討

7. 公益法人課税等の見直し

  • 公益法人等の範囲や収益事業の範囲の見直し

8. 地方法人課税の見直し(法人事業税を中心に)

  • 外形標準課税の付加価値割の拡大
  • 外形標準課税の対象法人の拡大
  • 住民税均等割りの増額について新たな指標の作成等の検討

http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2014/26zen10kai.html

このように項目を挙げるだけでも多くの内容が検討されています。

今年の年末の税制改正は、消費税の10%引き上げ判断だけでなく、法人税改正にも注目しておく必要がありそうです。

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