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9月の人事労務お役立ち情報|『2019年最低賃金の目安が公表。全国加重平均は901円に!』

9月の人事労務お役立ち情報|『2019年最低賃金の目安が公表。全国加重平均は901円に!』

 アクタス社会保険労務士法人

今月のお仕事一覧

『9月のお仕事カレンダー』

スケジュール

【9月10日】
  • 8月入社の雇用保険資格取得届の提出(ハローワーク)
  • 8月分源泉所得税・住民税の納付(郵便局または銀行)
【9月30日】
  • 8月分社会保険料の納付 (郵便局または銀行)

法改正・労務トピック解説

『2019年最低賃金の目安が公表。全国加重平均は901円に!』

2019年の最低賃金引き上げ額の目安が公表されました。近年の大幅な引き上げ傾向は今年も続き、全国加重平均901円は昨年の874円から27円引き上げという過去最大の上げ幅となりました。

「ニッポン一億総活躍プラン」では将来的に全国加重平均1,000円以上を目指すとしており、今後の動向も引き続き注目されます。

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今回公表された各都道府県別の引き上げ目安は以下の通りです。

Aランク:28円
埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪

Bランク:27円
茨城、栃木、富山、山梨、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島

Cランク:26円
北海道、宮城、群馬、新潟、石川、福井、岐阜、奈良、和歌山、岡山、
山口、徳島、香川、福岡  

Dランク:26円
青森、岩手、秋田、山形、福島、鳥取、島根、愛媛、高知、佐賀、長崎
熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄

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なお最低賃金はこの目安を元に毎年10月頃に都道府県単位で改定されますが、この8月9日に都道府県労働局に設置されているすべての地方最低賃金審議会が答申を済ませており、東京都は1,013円、神奈川県は1,011円と全国初の1,000円超えとなっています。
更に19県で当該目安額を超える引上げ額を答申しています。

(参考)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06141.html

最低賃金は原則すべての労働者に適用され、時給の労働者のみならず月給制の労働者や出来高払制の労働者にも適用されます。最低賃金を下回る賃金設定は無効となるだけでなく、罰則を科される可能性もあるので、事前の確認をしておきましょう。

今月の人事労務相談室

『テレワークの中抜時間の取扱いは?』

【相談内容】

東京オリンピックを1年後に控えて、テレワークを導入したところ従業員から「私用のための中抜け時間を認めてほしい」という要望がでました。
せっかく柔軟性ある働き方として導入したので認めたいのですが、どのように取り扱うべきですか?

【社労士のアドバイス】

一日の所定労働時間を変えず、その日の賃金を保障できる形で中抜け時間を認める方法を検討してみましょう。

テレワークガイドラインでは以下の方法が紹介されています。

  1. 中抜け時間を休憩時間として扱い始業時刻を繰り上げる、又は終業時刻を繰り下げる方法
  2. 休憩時間ではなく時間単位の年次有給休暇として取り扱う方法

在宅勤務などのテレワークを行う従業員のニーズの一つにワークライフバランスの充実があげられます。中抜け自体を認めないというのも、もちろん選択肢の一つですが、今回は従業員のニーズに寄り添うようある程度の中抜け時間を認めた場合の取扱いについて検討していきましょう。

まず上記ガイドラインで照会されている方法は、いずれも従業員の中抜け時間が「労働から解放されている」状態、すなわち上司などが業務の指示を行わないこととし、中抜け時間を自由に利用できることが前提となります。そのため、従業員には具体的に中抜け時間の開始と終了時間を申告させ、上司もそれを把握する必要があります。

そのうえで、必要な仕組みの整備について確認しましょう。

1.始業・終業時刻の繰上繰下について

就業規則に始業・終業の時間を定める必要がある以上、繰り上げ繰り下げについても、その範囲を規定しておく必要があります。また中抜けの時間について時間や請求事由も必要に応じて一定の制限を検討したほうがよいでしょう。なおこの中抜け時間は法定の休憩の上乗せとして設定するのが現実的です。法定の休憩時間は長さや一斉付与といった規制がかかり、正しく運用できないと罰則の適用もあり得るためです。

2.時間単位の年次有給休暇について

時間単位年休の導入には労使協定の締結が必要です。上記1.に比べて導入・管理のハードルは少し上がりますが、両者を併用することでより柔軟な働き方が期待できます。

東京都ではオリンピックの開催にあたり、「スムーズビズ」と銘打ち、時差通勤やテレワークの積極的な実施を推進しています。

今後もテレワークはニーズと共に拡大傾向にあるとみられる一方で様々な管理上の課題が残っているのも事実です。
この機会に、将来、対象範囲が拡大していくことも想定して制度の導入を検討するのもよいかもしれません。 

人事が企業成長を支える時代、戦略人事を実現するために必要な土台の作り方

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