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第8回 「-RPA特集 第4回- 日本企業の経理部門になかなかRPAが導入できない原因(その2)」

掲載日:2019.04.01
前回のコラムでは、「こまごまとした作業をどんどんロボ化することが、『使えるようになるコツ』」ではないかということを書きました。
実はこれは、私がこの2年間で気づいた大事なポイントなのです。

今さら説明するのも遅いのですが、「RPA」というのは、
・ロボティック
・プロセス
・オートメーション
の略称です。

言葉の通りに理解すると、「プロセス」の「自動化」ですから、「連続する作業」を自動的に実行させるということになります。
例えば、自動的に会計システムの帳票を必要とする人にメールで配信する場合、以下の一連の作業(process)をRPAのシステムに登録します。

(1)インターネット・エクスプローラーやクロームなどを立ち上げる。
(2)クラウドの会計ソフトのサイトを開く
(3)ログイン画面が開いたら、IDとパスワードを入力してログインする
(4)メインメニューが開いたら、「帳票出力」画面に変える
(5)「帳票出力」画面で、貸借対照表をCSV形式でエクスポート(出力)する
(6)CSV形式の貸借対照表をExcelに読み込む
(7)(6)をExcel形式で名前を付けて保存する
(8)メールソフトを立ち上げる
(9)「新規メール」を開く
(10)宛先に貸借対照表のExcelファイルを必要とする人のアドレスを入れる
(11)件名を入れる
(12)本文を入れる
(13)(7)で保存した、Excel形式の貸借対照表を添付する
(14)「送信」ボタン(リボン)をクリックして送信する

この例では、ざっと14ステップの連続する作業(プロセス)を自動化したことになります。
ITスキルが必要ない(プログラミング知識がない)人でも、このくらいの作業であれば、1時間くらいでロボができます。
パソコンが苦手な人だと2時間かかるかもしれません。
しかし、Excelで簡単な表が作成できるレベル(高度なIF関数などは使えないレベル)であれば、1時間でできるでしょう。
RPAでロボを作り慣れてくると、20分くらいでできるようになります。

この一連の作業を「こまごまとした作業」としてロボを作るとしたら、例えば、以下のような作り方ができます。

(1)インターネット・エクスプローラーやクロームなどを立ち上げる。
(2)クラウドの会計ソフトのサイトを開く
(3)ログイン画面が開いたら、IDとパスワードを入力してログインする
(4)メインメニューが開いたら、「帳票出力」画面に変える
(5)「帳票出力」画面で、貸借対照表をCSV形式でエクスポート(出力)する
ここまでの作業だけを自動化(ロボ化)するのです。

いきなり14ステップのロボを作るより、はるかに簡単です。
「こんな短い作業を自動化してもあまり意味がない」と考える人は多いでしょう。

しかし、
(1)会計システムの帳票をダウンロードする頻度を考えてみてください。
さまざまな種類の多くの帳票をダウンロードする作業は少なくないのではないでしょうか?

(2)前日までの残高や取引高を会計システムで集計し終わる時刻を考えてみてください。
経理担当者(人間)が出社する何時間も前に集計が終わっていないでしょうか?

もし、(1)や(2)に該当する場合には、
 ・経理担当者(人間)が出社する前に、
 ・毎朝、ロボが会計システムにログインして
 ・さまざまな種類の多くの帳票をダウンロードして
 ・所定のフォルダに保存
しておいてくれれば、従来は経理担当者(人間)が出勤して、毎日やっていたことが終わっている状況が作れるのです。毎日の作業が「前倒し」でスタートできます。

「自動化する意味」を考え過ぎると、なかなか一体目のロボはできません。ここでとん挫してしまい、失敗するケースがとても多いようです。
「自動化して意味があるかどうか」よりも、「簡単に作れるかどうか」で作り始めるのがコツなのです。「簡単に作れる作業」をどんどんロボ化するのです。

別の表現で言えば、「連続する長い一連の作業(process)」を自動化するイメージではなく、「短い単発の作業(action)」を自動化するイメージです。

メール配信も同様です。
経理担当者は、実に多くの資料をエクセルやワードなどで作成しますね。
「資料を最終版として完成させる」ことは人間でしかできません。
AIは発達していますが、「資料を最終版として完成させる」ところまでは、当面無理でしょう。
ただ、完成した資料を
 ・いつも同じ人宛に
 ・いつも同じ件名で
 ・いつも同じ本文で
 ・いつも同じファイルを添付して
メール配信するのであれば、安価なRPAで簡単にできるのです。
「メールをするくらいの作業なら、いちいちロボを作らなくても、自分でやっても大した負担にならない」と考える人は多いでしょう。

しかし、メールをする頻度を考えてみてください。
さまざまなメールを一日に何回も送信していませんか?
もし、これに該当する場合には、
 ・経理担当者(人間)が完成したファイルを所定のフォルダに保存したら、
 ・5秒おきにその所定のフォルダを見ているロボが、
 ・ファイルが更新されたことを判断して、
 ・そのフォルダのメモ帳に予め記載しておいた、アドレス・件名・本文で、ファイルを添付して送信してくれる状況が作れるのです。

あるいは、メールをする時刻を考えてみてください。
海外子会社の就業時間外にメールしていませんか?時差で一日ムダにしていませんか?
もし、これに該当する場合には、
 ・海外子会社が期限通りにメールをしてくれなかったら、
 ・5秒おきに自分の受信トレイを見ているロボが、
 ・催促メールを最速で送信してくれる状況が作れるのです。
 これで一日が短縮できるのです。

「RPAで自動化すべき業務(process)は何か」なんて考える時間があったら、「短い単発の作業(action)」を自動化し始めた方が早いのです。
そうしたら、「RPAを導入できない」なんてことにはならないでしょう。
こうすれば「誰でもできる」のです。

バックナンバーを開く

  1. 第15回 「-RPA特集 第11回- RPAは内部統制上問題とならないのか」(2019.11.01)
  2. 第14回 「-RPA特集 第10回- RPAで自動化させるのはだれか」(2019.10.01)
  3. 第13回 「-RPA特集 第9回- RPAを導入する上での留意点(その2)」(2019.09.01)
  4. 第12回 「-RPA特集 第8回- RPAを導入する上での留意点(その1)」(2019.08.01)
  5. 第11回 「-RPA特集 第7回- どのような経理業務に使えるのか(その3:経費精算業務)」(2019.07.01)
  6. 第10回 「-RPA特集 第6回- どのような経理業務に使えるのか(その2:買掛金請求書業務)」(2019.06.01)
  7. 第9回 「-RPA特集 第5回- どのような経理業務に使えるのか(その1:入金消込業務)」(2019.05.01)
  8. 第8回 「-RPA特集 第4回- 日本企業の経理部門になかなかRPAが導入できない原因(その2)」(2019.04.01)
  9. 第7回 「-RPA特集 第3回- 日本企業の経理部門になかなかRPAが導入できない原因」(2019.03.01)
  10. 第6回 「-RPA特集 第2回- 日本で利用されているRPAにはどのようなものがあるのか(その2:国内製品)」(2019.02.01)
  11. 第5回 「-RPA特集 第1回- 日本で利用されているRPAにはどのようなものがあるのか(その1:海外製品)」(2019.01.01)
  12. 第4回 「経理業務とRPA(ロボティクス)」(2018.12.01)
  13. 第3回 「東ロボくん」(2018.10.01)
  14. 第2回 「『使わされる会計』と『使う会計』」(2018.06.01)
  15. 第1回 「楽しい経理」(2018.03.01)

著者プロフィール

中田 清穂(なかた せいほ)

青山監査法人にて米国基準での連結財務諸表監査に7年間従事。
旧PWCに転籍後、連結経営システム構築プロジェクト(約10社)に従事。
その他に経理業務改善プロジェクトや物流管理プロジェクトにて、現場業務の現状分析や改善提案に参画。
旧PWC退社後、DIVA社を設立し、取締役副社長に就任。DIVA社退社後、独立。

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